†小説家志望の部屋†2009-11-11 10:40:33
Stand by U ㈡
ザワザワザワ
いつもの商店街の道を歩く。
今日は隣に人がいない分、なんだかむなしい気がする。
何故だろう・・・・。いつもと変わらないはずなのに何かが違う。
彩香がいないだけでこんなにも違うのだろうか。
この街の景色も、匂いも、ぬくもりも・・・。
あっ・・・。こんなところに喫茶店があったのだろうか。
いままでぜんぜん気がつかなかった。
暇だし、とりあえず寄ってみた。
一番奥の席に座り、コーヒーを頼む。
外は雪がチラついてきた。
もう、そんな季節かぁ・・・。
遠藤の言葉がよみがえる。
『彩香は勇也に愛想をつかしてる。本当は別れたいけどなかなか言い出せない。本人に気づかれないように必死で猫かぶってる。』
そんなウワサ、聞いたことなかった。
まぁ、あたりまえといえばあたりまえだが・・・。
「おまたせしました。コーヒーでございます」
窓の外をボーッとみているうちにコーヒーが来た。
一口飲むたびにあたたかさが身にしみる。
そういえば、彩香が家に遊びに来た時、コーヒーを淹れてやったら「おいしい」って言ってくれたっけ・・・。
こんなんでよければいつでも淹れてやるってあの時約束したんだよな。
他にも、TDLに行こうとか、福島のハワイアンズに行こうとか・・・いろいろ約束したのに‒‒‒。
全部果たされないまま、思い出に変わっちまった。
「ウワァ〜ンワァ〜ン!!」
窓の外で小さい子が転んで泣いている。
母親らしき人物がそばにいってあやしている。
膝から血が出ている。
外は凍るように寒い。相当痛いはずだ。
そういえば・・・・。
しばらく前、学校で彩香が泣いた。
高校生にもなって泣くか?とか思いながら傍観視していたら、周りにせっつかれた。
『はやく行ってやれよ』『愛しの彩香ちゃんが泣いてるぜ?』『お前鈴木さんの彼氏だろ?』
しぶしぶといって慰めてやった。原因はよくわからなかったが、抱きつかれてわんわん泣かれたことは覚えている。
もしもあの時、すぐにでも駆けつけてやったら愛想をつかされなかったのだろうか?
考え始めると次々に浮かんできてきりがない。
少し冷めてきたコーヒーを一気に飲み干すと会計を済ませ、店を出た。
チリンチリン
鈴の音が鳴る。
この時期に鈴の音は結構あっている。
そんなことを思いながら、おれは家へと急いだ。