景気悪化で雇用情勢が厳しさを増す中、介護ヘルパーや介護福祉士など福祉関連の職業が注目されている。ハローワークでは求人が目立ち、国や府などは無料ヘルパー養成講座などで支援。一方、現場では低賃金などで離職者が多く、慢性的な人材不足に陥る。待遇改善の光は見えてこず、不安を口にする声も聞かれる。
(梶多恵子)
「貯金もできず、日々の生活で精いっぱい。将来が不安です」。大阪市内の訪問介護ヘルパーの女性(42)は、ため息をつく。2年前に離婚。高2と中3の息子2人がおり、月収は約10万円。2人が成人するまで、元夫が住宅費と養育費を負担するが、大学進学などを考えると余裕はない。
時給1200円で、仕事時間を増やしても月収20万円弱が精いっぱい。所得が増えると国民健康保険料が高くなり、児童扶養手当も減額。数万円の上乗せ程度で、十分な収入にはほど遠い。人の役に立ちたいと、離婚を機に、資格を取って今の職に就いた。「やりがいある仕事と思う。もう少し給料が高ければ自立できるのに……」と話す。
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介護現場で労働力需要が高まる一方、離職率も高率で推移する。大阪労働局では、阿倍野(同市阿倍野区)と大阪東(中央区)のハローワークに福祉関連の就職相談専用窓口を設置。また、雇用・能力開発機構などは、専門学校などに委託して無料ヘルパー養成講座を開設し、人材確保に取り組む。講座の定員はほぼ満員だが、労働局の担当者は「思っていた職場と違う、と辞めてしまわないよう、仕事を紹介する際には現状の厳しさを伝え、念を押すようにしている」という。
ヘルパーらの給料は介護報酬が原資で、平均月収18万700円。時間給制の多い訪問介護の場合、担当する要介護者が入院、死亡すると、給料が一気に減る不安定さがある。介護保険料と利用者負担頼みの現行制度では、現場の努力だけで処遇改善を実現させるには限界があり、「保険料の一定額アップなど、政策的判断が必要」との声も上がる。
府福祉人材センターの宮崎浩所長は「労働環境を整えることは、ひいては国民の利益につながる。改善のため、一人一人が介護現場の状況を理解し、ともに考えていくことが必要だ」と話している。
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【離職率】福祉関連の職業を紹介する府福祉人材センター(大阪市中央区)の有効求人倍率(9月)は1.97倍で、府内全体(0.45倍)の4倍以上。一方、介護労働安定センター(東京)の介護労働実態調査によると、介護労働者の2008年度の離職率は18.7%、府内で19%と、全産業の離職率(14.6%)に比べて高い。離職理由として「職場の人間関係」「事業所の運営方針」のほか、「収入が少ない」「将来の見込みが立たない」なども目立つ。また、勤続年数も平均4.4年と短い。