サマルカンドのバスターミナル。バスが停まると、すぐ売り子が寄ってくる。
トルクメニスタンとアゼルバイジャンのビザを申請するために、はるばるタシュケントまで戻ってきた。前に滞在したときはぼろっちい安宿に泊まったのだが、なんだか陰惨な雰囲気で気分が滅入ってくるので、今回はアリツアーという宿に泊まることにした。少々お高いのが難点だが、部屋に冷蔵庫が付いているぐらい、設備に関しては二重丸である。おまけにトルクメニスタン大使館から徒歩10分少々という立地が気に入った。
アリツアーの中庭。なぜか全面鏡張り。
ちなみにここのオーナーのアリ氏は正真正銘立派なアル中で、姿を見かける時は大体ウォッカを飲んでいる。ことによると朝っぱらから嗜んでいることもあるぐらいだ。目が合うと「サムラ〜イ!ウォッカ飲むか?」と誘ってくれるので、時々ご相伴にあずからせてもらっている。酒飲みにとってはなかなかいい宿ですな。
タジクのホールーグで別れた韓国人旅行者のマリオと、この宿で偶然再会した。びっくりしたな〜、もう。彼も翌日トルクメニスタンのビザを申請しに行くというので、一緒に行くことにする。
左が踊るマリオ。元ツアーガイドで、散々南米へ行っているだけあって、動きが身軽。ちなみに右から2人目がアリ氏。
翌朝6時に宿を出て、トルクメニスタン大使館へ向かった。なんでこんな早朝に出るのかというと、早めに予約リストに名前を記入しておかないと、営業時間(?)の2時間以内に大使館に入れてもらえないと聞いていたからだ。面倒くさいったらありゃしないんである。
最高額紙幣の1000スムが50円ぐらいなんで、両替するととんでもない量の札束が手に入る。写真の札束でも5000円以下。
早朝のタシュケントの街は通行人の姿も道路を走る車の姿もまばらで、ひっそりと静まり返っていた。その中を寝ぼけ眼でテクテク歩いていく。こんな朝っぱらから散歩とは、健康的すぎるぞ。かくしゃくとしたおじいちゃんじゃあるまいし。
やたらとピカピカなトルクメニスタン大使館。
トルクメニスタン大使館の前には既に10人程の人だかりができていた。こんな早くから待っているやつらがいるのか・・・。噂に違わぬ中央アジア最難関の大使館の実力の片鱗を早速見せつけられてしまった。気を取り直して、人だかりを掻き分け、警備員室の窓際に置いてある予約リストに名前を書いておく。私の番号は17番だった。ビザ申請受付は月曜から木曜なんだけど、今週は月曜から水曜日(火・水は独立記念日だった)まで休みだったので、申請できるのは、ほぼ1週間ぶりだもんなー。そりゃ混むのも納得だわ。しかし17番で時間内に申請できるのかなー?ちょっと心配になってきた。
同じアパートの外壁なのに、穴ぼこタイプとか白壁とかレンガ模様とか、なんでこんなにデタラメなの?
宿に戻って軽く二度寝してから、大使館開館の11時に間に合うよう宿を出た。再びトルクメニスタン大使館に着くと、既に門の前は大勢の人でごった返していた。ざわ・・・ざわ・・・。門から出てくる人の姿があるところを見ると、もう受付開始しているみたいだな。
1軒だけあったセブンイレブン。絶対未許可。
何人ぐらいはけたかなーと思い、リストを確認すると、衝撃の事実に目が点になった。なんと我々を含め20数番までの名前が既に消されているではないか!どういうこっちゃ?内心なにさらしてんだYO!という気分だったが、警備員のご機嫌を損ねて意地悪されてもつまらないので、ここは一番低姿勢で理由を訊ねることにしよう。
「あの〜、なぜ我々の名前が消されているのでありますか?」
「あ〜、今日はね〜、10時から開けてんの。君たちその時間にいなかったでしょ?だから名前を消しちゃったの」
「えっ?開館時間は11時から1時じゃないんでありますか?」
「いつもはそうだけど、今日だけ10時から12時なの。残念でしたー!!」
「・・・・・・」
街角の小さな商店じゃあるまいし、気まぐれすぎるだろ、おい。気を取り直して改めてリストに名前を書いたが、営業時間は残り1時間。順番が回ってくる可能性は限りなく低い。
いっちょまえにブロードウェイと呼ばれるメインストリート。
それでも一縷の望みを託して待っていたのだが、我々の希望は「今日はこれでおしまい!じゃあねい!」という無情の声によって完全に断ち切られた。おいおい、また月曜日まで待たないといけないのかよ・・・?意気消沈している我々の姿を見て、警備員が声をかけてきた。
「今日の午後5時から6時までまた受付するから、その時間になったらまた来るといいよ」
「ええっ、本当でありますかっ!?ビザ申請できるのでありますかっ!?」
「うん、大丈夫だから、出なおしなよ」
地獄で仏に会ったような気分である。まだどうなるかわからないけど、とにかくこのチャンスにすがるっきゃない。
韓国料理屋でビビンパプを喰って、気力を充填。しばらく時間を潰してから、午後3時前にはトルクメニスタン大使館へ戻ってきた。もう失敗は許されない。念には念を、というやつである。
遠目から見て、一瞬マックと勘違いしたファストフード店。
警備員は午後は予約リストなし、と言っていたが、念のために早めに来て正解だった。警備員室の窓際に午後5時から6時と書かれた予約リストが置いてあったのだ。もう何も誰も信じられない・・・。ちなみに今回は7番だった。この順番だったら、1時間以内に回ってくるかな?
まだだいぶ時間があったので、カフェでビールをひっかけてから、午後4時には大使館前でスタンバイ。大使館が開くのをひたすら待つ。結局大使館は予定通り午後5時に開いた。何人か出入りが続くのを見届けてから、ゲートの中で客の入館を管理しているにいちゃんに、どのくら順番が進んだのか確認した。
「今、何番くらいでありますか?」
「え?今はリストの人はいれてないよ。午後はビザ受取しか受け付けてないから」
「・・・・・・」
おちょくってんのか?おいっ!?申請できないんなら、始めっからそう言えよっ!
警備員の言う事を鵜呑みにしたのが失敗だった・・・。営業時間は知ってるけど、他の細かいことは知らんのね・・・。
地下鉄もある大都市タシュケント。地下鉄は駅ごとにだいぶ雰囲気が違って面白いのに、写真撮影禁止なのが残念。
再び意気消沈し、カビの生えたパンのような顔をしていると、先程我々の望みを一瞬で断ち切ったにいちゃんが、下卑た笑みを浮かべながら声をかけてきた。
「5$くれたら、明日入れてやるよ。本当は金曜日は受け付けてないんだけどな」
「マジで!?本当に明日ビザ申請できるんだったら、全然構わんぞっ!」
「大丈夫だ。任せとけい!じゃあ明日の朝9時に来い。いいな?」
「了解っす!ほんじゃあ、よろしく〜」
散々裏切られ続けたので半信半疑であるが、この話に乗るしかないよなー。月曜日までなんて待ってられないし。
ウズベキスタンの英雄ティムール像。
翌朝不退転の決意で宿を出た。もし今日も申請できなかったとしたら、どんな嫌がらせをしてやろうかと思案しながら歩いていると、ちょうど午前9時に大使館へ到着。裏口の前でしばらく待っていると、大使館の中からにいちゃんが現れた。そして紙切れを見せながら、「リストに名前を載せといたからな。11時まで待っとけ」と言い放った。了解っす。しかし何で17番なの?もっと若い番号にしてくれりゃあいいのによ・・・。にいちゃんは我々にそれだけ伝えると、足早に立ち去っていった。あれ?別に朝9時に呼ばなくてもよかったんじゃあ・・・?
宿まで戻るのも面倒だし、また何かイレギュラーな事態が起こっても困るので、11時まで大使館の前で待機した。あまりにもヒマなので鼻歌を歌って時間を潰す。興が乗り始め、軽やかにステップを踏みながら熱唱していると、私のまわりに、じゃなくて大使館の前に人が集まってきた。時計を見るとちょうど午前11時。予定通りオープンするみたいだ。
ロビーでWI-FIが使えるホテルウズベキスタン。
人が出入りするのを辛抱強く眺めていると、ついににいちゃんが我々の名を呼んだ。やった〜、ようやく入れるのね・・・。時刻は12時過ぎになっていた。1時になると申請書が書きかけでも、問答無用で受付終了と聞いていたが、これだけ時間があれば大丈夫だろう。
中に入って申請書を速攻で記入し、あっと言う間に申請終了。ただこれだけのために、どれだけの時間を費やしたというのか・・・。あ〜〜、疲れた・・・。しかももらえるのは10日後だってよ・・・。
チャールスゥ・バザール。巨大なバザールだが、残念ながらバザールはもう飽きた・・・。
一方アゼルバイジャンのビザは楽勝だった。取得まで3日かかるけど、タダっつーのがうれしいね。ところで大使館内には「アルメニアの恐怖」とか「アルメニアの侵略による難民写真集」などの本がずらりと並べてあって、心底アルメニアを嫌っているのがよくわかる。帰りがけに職員に「これ読んでいってもいい?」と訊ねたが、「あー、それ飾ってあるだけだから、ダメ」と言われてしまった。なんだ、アルメニアの極悪非道ぶりを世に広めたいんじゃないのか?
またビザを取得するためにタシュケントへ戻らなければならないのが面倒だが、とりあえず一仕事終えたような気分である。ここしばらくは観光を楽しませてもらうことにしよう。
ほいじゃ、また。
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