続きを別にしないで数えて第5回目くらいでしたでしょうか。
今までのお話は全て時系列的に同軸上ではありませんが、順番としては続きになると思います。
今回、本番はありませんが、微エロ風味ですので、そういうのが苦手な方は絶対にご覧にならないで下さい。
ちゅーくらいしかしておりませんので、あきらかなホモ描写は無いつもりです。
でも真面目に恋愛ものなのでご注意下さい。
夢ネタの続き
コン、という軽いノックでスリープモードから復帰した。
ハッチを開けて夜中の訪問者を迎え入れる。
「やあ」
「こんばんは、キャプテン」
彼は時々こうやって夜中に訪ねてくるようになった。
自分もそれを期待していることは既に自覚しているが、搭乗者の安全第一という業務的な言葉しか出てこない。
「ちゃんと眠れてますか?寝不足で海へは出られませんよ」
「わかってるよ。今日は早めに休んで来たんだ」
自分に会うために準備をしてくれていたことを嬉しく思う。嬉しいという言葉と感情も、キャプテンに会ってから最近覚えた言葉だ。
きっかけはドルフィン1号と再会したことだった。
彼女は自分よりたくさんの言葉と感情を理解している。ミスター・グラバーの作ったソナーの使い方も彼女に教えてもらった。
自分を作ったミスター・グラバーは人間でいうところの父親と同じ存在だと認識している。
しかし彼女にとってはそうではなかった。特別な感情と言っていたことが今ではわかる。自分が今のキャプテンに抱く感情ときっと同じなのだろう。
彼女にしろキャプテンにしろ、誰かと感情を共有すること、理解することはとても満足感を与えるものだと知った。
彼と調査する日々は、キシラ環礁水棲データベースを作成するための発見より、新しい言葉や感情を学ぶ機会が多いような気がする。
不必要だと思っていたが、ミス・ポーターやメンテナンスの学者達は、皆口を揃えて良い傾向だと言う。
新しく知識が増えるのは大歓迎なのだが、煩雑になりすぎて制御できなくなりそうなところが難しい。
逆に理解できないことや理解されないのではないかということに対して不安になることもあるからだ。
キャプテンとは以前同じ夢を見たことがある。感情だけでなく夢や秘密を共有するということが心地よかった。
そういえばあの時はもっと暖かかったと思い、また同じ夢をみられるだろうかと暖房を入れた。
「あまり暖かくするとバッテリーを消費するし、眠ってしまうよ」
「充電は完了してます。また同じ夢を見られるのでしたら眠ってもいいですよ」
そう言ったら彼はわずかに目を見開いた。逆に目を覚ましてしまったのだろうか。
「どうしました?」
「いや、何でも…」
「夢を見ると言ってもシステムがスリープ状態になる訳ではありませんでしたし、ベースに固定してあるので流されたりはしません」
「や、その心配はしてないけど」
暖房が効き始めたのか、少し寒そうだった顔色が良くなってきたようだ。
準備してくれていたのか、と小さく呟いて、コンソールを彼の指が優しく撫でた。
初めてキャプテンが夜のキシラベースに現れて私の中で眠った時のことを思い出してみる。
自分の気持ちをなんとか言葉にして伝えたら、彼も同じように想ってくれていたことを知った。
しかし、あれ以来彼は私の中で眠ることは無かった。もちろん危険だということは最初に伝えたので用心していたのだろうが、またあの夢の中へ行けたら、と思っているのは私だけなのだろうか。
あそこで私は人間に近い姿だった。
何故姿が変わったのかは全くの謎なのだが、人が珊瑚礁と融合するような海では何が起こっても驚かないと彼は言っていた。それなのに。
気が付いたら私は彼の腕の中にいて、覗き込まれていた。
「どうした?何を泣いているんだ?」
泣いて?私にはその行為は不可能な筈。
滲む視界で当たりを見回そうとしたら、目を指で拭われた。
目、ということはまた私の姿は変わっているのか。
見下ろしてみると今度はほとんど人間に近い気がする、というか外見ではほぼ人間そのもののようだ。
「変、ですよね。すみません…」
「いや全然変じゃないよ。むしろ…」
そこまで言って目を逸らされた。目を背けたくなる程悪い印象なのだろうか。
心なしか苦しそうな表情をしている。
呆然としていると、突然抱きしめられた。
「ごめん、きっと私のせいだ。私が望んだからこんな姿に…」
口づけてきた彼の唇が、まぶたや喉、肩から指先まで這っていく。肩をはだけられて初めて自分が服を着ていたことに気付いた。
噛みつかれるような強い刺激を受けるたびに、回路がショートしたような衝撃が走る。
「抱きしめたくてたまらないんだ」
耳元で、ため息とも違う、熱い吐息を感じて胸がざわめく。
「ああ…!」
彼の舌が耳に入ってきた時、今まで感じたことのない感覚に思いがけない声が出た。一瞬彼の動きが止まったが、更に深く舐められて身体が戦慄く。
このままでは何も考えられなくなりそうだ。その前にこれだけは伝えなくては。
「違い…ます」
「え?」
「望んだのは私です。私はあなたと同じになりたかったから、変わりたかったのは私の方です。…私もあなたを抱きしめたい」
「…ありがとう」
その時の彼のはにかんだような笑顔がとても愛おしくなり、思わず抱きしめた。
その日覚えた新しい感覚と感情は、きっととても大切なことなので、大事にしまっておくことにしよう。
多分忘れることなどないと思うけれど。
ドルフィン2号のデータベースが更新されました。
-完!-
ここまで読んで下さいましてありがとうございます。
今回は珍しくドルフィン号視点です。
恋愛ものを書く時は、何考えているのかわからない受って怖いので、まず受けがどう思ってるのか整理してから書き始めることが多いです。
主人公視点で書くとしたら微エロじゃすまなさそうな気がして怖いです。ハハハハハ。
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こんなドマイナーブログに来て下さいまして、感謝感激です。